リズ    

(星を見て)この世にある思い出の粒が目に見えるとして、夜空の光とどちらが多いのだろう?

アシッド  

(ナレーション風に)ざわめき立つ明かりを逃れて夜風は静か。うまく話せないふたりは火を灯した──。

なんてこうやって思い出して書き続けた

使い古されたメロディを手垢まみれの魔法で

捨てられると分かって歌うソドレミファミレド

あそびつかれたらさよなら

やがてあきがきてさよなら

ぼくらの資源は残酷にも有限だって

仕方ないって

わかってるよ

きっとすぐに

光は掠れて名前も忘れてしまうとして

(それでもぼくら)ふたりだけで

片隅を照らす瞬きを永遠にしたいと思う

掃いて捨てるほどの記録archiveの上

半径25cmの窓で

きみを見ている

まだ名前も何もない始まりも終わりもない距離感でいたい

〇舞台装置(早朝)
      

 すべての照明が消えていく。  消えていく書き割りの星空を創作物たち眺めている。

リズ    

静かに香る赤い赤い花火よ

アシッド  

どうかこのまま時間を止めて


流れ行くように
見失うように

いつかはぼくらも
そっと消えてしまうのかな